『同じ匂い』 土方×神楽


 「あっ。」
「…なんだよ……」
何度怒鳴りつけたか知れないのに全く懲りもせず今だ自分の首にぶら下がっている少女が上げた声。どうせろくなことではないだろうと、かなりうんざりした様子を声に出して訊き返す。
「多串クン、髪。」
「…?髪がどーした」
「髪の匂い、私と一緒!」
「……はあ!?」
「おんなじシャンプー使ってるアルな!」
喜々とした声音で言いながら、くしゃっと土方の後頭部に顔を埋める。
「どわっ!…っく、くすぐってェからやめろッ!!…同じシャンプーだぁ?ホントお前、犬みてーだな…」
すげぇ嗅覚・とぼそぼそ言った後で、はっと顔を上げる。
「……ちょっと待て」
「ン?」
「お前、万事屋に住み込みだよな?」
「今更何言ってるネ」
「あそこ、風呂はあるよな?」
「銭湯通いするほどビンボーじゃないヨ」
「…日用品はほとんど兼用だよな?」
「ウン。シャンプーだって、銀ちゃん一緒だし新八もたまに泊まる時は使うアル。定春もお揃いヨ」
犬まで人間用シャンプーで洗うのかよ・と心の中でつっこんだが、神楽はまだうきうきと楽しそうだ。
「私も一緒、銀ちゃんも一緒、新八も一緒で定春も一緒ヨ。同志がいっぱいアルな」
「……」
一方、土方の顔色は冴えなかった。
「……今度種類変えよう」
「え!なんでなんで!?お揃いヨ、楽しーじゃん!」
「ヤローと一緒で喜ぶ男がいるかァァァ!」
「何ヨー良いじゃないヨ銀ちゃんと新八くらい!定春可愛いしっ」
「……。」

そいつらだけじゃねーんだよ、『お揃い』のヤローどもは。


 そんなことは神楽には言わなかった。


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▲とてもしょーもないんですがふと思ってしまったので書いてしまいました。ゴキ●リが一匹居れば三十匹いるように、二人がお揃いであれば何十人もの人間がお揃いになるという…あれ?なんか思ったよりきもちわるい 喩えが悪かったのか(多分な)
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『お知り合い』 土方&神楽&近藤&さっちゃん


 「……」
「あ、おはよー多串クン」
「……」
「何ぼけっとしてるネ。寝不足カ?」
「…っ、なんっっでてめーが朝っぱらから屯所に居んだァァァ!」
「うるさいアル。偶には一日中めいっぱい遊びたいから早く来たネ、悪いかヨ」
「悪いわ!あのなあっ…」
「おーいチャイナさん!一緒に朝飯食うかい…って、おおトシ!おはよう!!」
「あんた何馴染んでんだ!朝飯って……追い返せよこんなん!」
「こんなんとはなんだこんなんとは!チャイナさんは良い子だぞ!!あの蚊の一件以来俺は絶対の信頼を置いている!」
「トイレついてってもらっただけで何、その信じよう!?…あ゛〜もう、俺これでも昨日まで二晩完徹なんだぞやっと一晩寝れたとこなんだよ勘弁してくれそんな朝くらい平穏に過ごさせてくれ」
「多串クンあそぼ!今日はカルタするアル、カルタ」
「お前話聞いてたか!?だーから抱きつくなっつてんだろ首にっ!おいホント好い加減にしねーとっ……」
 その時、不意にばきばきと何かの割れるような音がした。そしてずしゃっと何かの落ちる嫌な音。さすがに土方も怒鳴るのをやめ、神楽もきょとんと土方の背中の向こうを覗きこみ、近藤はぱちぱち瞬きをする。
「…は……?」
「あいたたたた…あら、ここ何処かしら」
「あんた誰だ!?…なんで天井突き破って降ってきてんの!」
「「あ、さっちゃんだ」」
「って、知ってんのかよお前らァァァ!二人して!?知らねーの俺だけか!?」
「松平のとっつぁんの知り合いの殺し屋さんだよトシ」
「銀ちゃんの婚約者アルヨ多串クン」
「何、その二つの情報が繋がるの!?繋がって良いの!?」
「あらやだまた眼鏡が…メガネメガネ」
「メガネって…ちょっとちょっと!見えてるよちらっと見えてるよあんたのその足の下ァァァ!なんか粉々になった透明な欠片まで見えるんですけど!!」
「……」
「…? なんだよ」
「…まあ〜良く吠える番犬だこと。ハチ公?タロ・ジロ?ほーらよしよし、頑張ってるわね〜でも私は悪い人じゃないわよ」
「俺は犬じゃねェェェ!頭撫でんな!!そこの二人も顔合わせてこっそり笑うなァァ!」


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▲土さちにハマりかけな頃ですね。半端〜なさっちゃんの入り具合(笑)むしろ近神っつーほうが近い気も。あの二人もセットだと可愛いんだよなあ…!(ぇ)
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『来訪者』 金魂で土方×神楽


  ばたばたばた。突然入り口の方が騒がしくなったのを察すると、ただでさえ深く入っていた眉間の皺が深くなり、にも関わらず回りの女達は歓声を上げた。渋いだの格好良いだの、よくまああの形相を見てはしゃげるもんだ・と傍のカウンターでは半ば感嘆しながら見る目がある。それに向かい、険しい顔をした当の本人がほとんど怒鳴るようにして言った。
「総悟!お前ぼーっとしてねェで見て来い!!」
「うるせェなァ土方さん、今山崎が行きましたって。俺これから寝るんで後の事ァ頼んまさァ」
「待てコラ今はまだ働く時間だろがァァァ!!あのなぁお前ホント、」
「ふっ…副店長っ!!」
そのまま説教に雪崩れ込みそうだった(周りの女は慣れた様子でやっぱり「格好良い」だの「沖田くん可愛いー」だの言っている)ところへ、血相を変えて飛び込んできた男の姿があった。「あ、山崎」と沖田が声を上げる。土方はまた顔を険しくした。
「なんだ、山崎。店内で大声上げんな!」
「その台詞あんたにそっくりそのまま返しやす」
ぼそりと沖田が言ったが土方には聞こえなかったようだった。山崎も気が動転してそれどころではないのか、すんません・と小さく謝る。そして、
「ちょ、あの、入り口、そのっ…かっ……」
「落ち着けや!!日本語話せ!…か?」
「かっ、かっ、……神楽ですっ」
「かぐ…、……神楽ァ!?って、あの…中国マフィアのボスとか抜かしてるイカれたアルアル口調の神楽!?」
「そうそれでっ…ぎゃっ!」
「それです・じゃないアルこの下っ端。誰がイカれたアルアル口調ネ、そこの瞳孔開いた奴」
床に前のめりに倒れこんだ山崎の背中に思いっきりヒールが食い込む。今しがたその頭を穿った薄紫の傘が地について、どす・と鈍い音を発した。
「この店のホストはレディーに対する礼儀も知らないカ?ならうちの金ちゃん、メガネにすら劣るアルな。店に入るときもごちゃごちゃ五月蝿かったし三等兵どもの分際で、…数々の非礼、謝るヨロシ」
余裕たっぷりに言う女は確かに美人の類に入るものだったけれど、その纏う空気は他の女のそれとまるで違う。そう察し、深い縦皺を眉間に刻んだまま唇を噛むと、土方はゆっくり頭を下げ(目は女を見たままだ)て謝罪の言葉を口にした。
「……失礼しました」
「お、土方さんがわりと素直に謝った。明日は雪だぜィ山崎」
「てめェは黙ってろ総悟!!…マフィア云々は怪しいが、ここら一帯に顔が知れてるのは本当だ。あまり敵にはしたくねェ」
後半は声を潜めていたが、
「怪しいとは何事ヨ、全部ほんとネ。なんなら明日黒メガネ百人けしかけてこの店潰しても良いアルヨ。仕上げは私の機銃掃射アル…跡形もなくしてあげるネ」
「「すみません」」
2つ謝罪の言葉が重なったのを聞き、ヨシヨシと機嫌良さそうに頷く。それからざっと店内を見回し、すたすたと勝手に歩き回り、カウンターと棚を眺め、
「…ふーん……これが天人ゼロにも関わらず歌舞伎町一の売り上げを誇る店で、」
ぴたりと土方の前で足を止め、その頤に手を当ててぐいと強引に顔を上向かせると、随分鋭く挑戦的な目でじろじろと見た。
「これが、その店で不動の人気を誇る副店長・かヨ」
「それァちっと違いやすぜお嬢さん。来月くらいには俺が抜いてまさァ。」
「ホウ。お前誰アルカ」
「沖田と申しやす。」
「なかなか強気でヨロシ。そのうち下僕くらいにはしてやっても良いアル」
「いやァそれは無理でさァ、俺の方が格が上ですからねィ」
「…口の利き方に気をつけるネ。穴だらけになりたいのカ」
「勝負ならいつでも」
「上等アル」
「オーイオイオイちょっと待て!店の中で不穏な空気撒き散らすなお前ら、頼むから!!総悟、お前ほんと話聞いてねーだろ変な挑戦するんじゃねェ!」
「なんでこんなのが人気あるアル」
「俺も不思議なんでさァ」
「…、お前ら好い加減にしねーと斬るぞコラァァァ!」
「ちょっと副店長ォォ!アンタまでキレたらこの店潰れちゃうよホントやめてェェェ!あーもー店長も『すまいる』行っちゃってるし…!」
「なんだ、近藤さんまだ諦めてなかったんだあの姐さんのこと」
「話逸らすな!つーかあんたいつまでこの手…っ、用はなんだ!!」
「おっもう丁寧語は諦めたネ。いっそ清々しくて良いヨ、鋭いツッコミもうちの新八思わせるアル」
「だーから何しに来たってッ…、」
そこで言葉が止まる。途切れた瞬間、わざとたてたらしきちゅっという音が代わりにした。
「何しにって、コナかけに来たアルヨ。」
顔を離し、にっと笑う。今しがた口付けた彼の頬を軽くぽんぽんと叩いて、
「万事屋。これから大きくなって、お前ら抜かしてやる店ネ…覚えとくヨロシ。」
くるりと踵を返し、呆気に取られた他の店員達を完全に無視して(沖田にだけは少し睨むような視線をやった)、堂々と出て行った。が、ふいにぴたりと足を止め、振り返り、
「今の赤くなった顔はなかなか使えるアル。最後の決め技にすると良いネ、取っとけヨ。」
それだけだけ言うと、今度こそその赤い背中は店の階段の向こうに消えた。沈黙が残る。
 「……。」
「…あの、副店長……」
「…ホストクラブの副店長が頬にキスされたぐらいで赤くなってどうすんでィ、情けねェ……」
「…っ、やかましいっっ!!」

 何も言えなかった悔しさなのか不覚にも赤くなってしまった照れ隠しなのか、土方は思いっきり沖田と山崎の頭を殴りつけた。


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▲金魂パロです。多分まともに書いたのはこれが初めて…だったんかな?ホントに短い、五行ぐらいで終わる妄想会話(近藤+土方でどうでもいいギャグだったんでここに上げることは無いかと思ってUPしてないんですが)はあったけど。。
ノーマル土神以上に神楽が強気で土方が押され気味なんで楽しいです(笑)しかし実際問題ホストクラブやるならそんな根性じゃ駄目だと思うぞ土方さん…(汗(お前が考えた設定だよ))
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『ヤドリギのしゅくふく』 土方×神楽


 「ねーねー多串クン、もうすぐ“クリ祭り”らしいアルな」
「…ベタすぎてあんまりつっこみたくもねーんだけどな、それお前アレだろ“クリスマス”の間違いだろ」
「あっ、そんな気もするヨ」
「気もする・じゃねェよ真実だっつの。…らしいな。天人が来てから広まった行事だし、あんま知らねェけど」
「とっても楽しいって聞いたネ」
「そうなのか?」
「ウン。ご馳走食べて、きらきらしたものいっぱい飾って、楽しく一晩過ごして寝て起きたらプレゼントもらえるってゆーアル」
「…そりゃまた……贅沢なこって」
「だから、大事な人たちと一緒に過ごすんだヨ」
「……で?」
なんとなく悪い予感に襲われながら、一応聞いてみる。神楽は満面の笑みで一枚のビラを差し出した。
「と、ゆーわけでクリスマスパーティー開催アル。日時はちゃんと慣例に従い24・25日ネ、完徹マラソンパーティー。多串クンも来るヨロシ」
「徹夜かよ!?ってかお前これっ…開催場所、ここになってんじゃねーか!!誰がいつ許可出したよ!?屯所はてめぇらの家でも市民ホールでもねェんだぞ!!」
「うっさいネ、知り合いの中で一番広い家持ってるのがお前らアル。一大イベントの為ヨ、捧げられるもの全て捧げるヨロシ」
「アホかァァァ!お祭り騒ぎはよそでやれ!あと、俺は行かねえぞ!!」
「えーっ、何言うネ!そしたら一体誰がパーティー費用出すアルかァァ!!」
「そこまでタカる気かよオイィィィ!」
「当たり前だァ税金ドロボーのお前ら以外に誰がそんな金出すカァァァ!」
「何、逆ギレ!?」



 そして当日。
 「野郎共ォォォァ!飲めや歌えや食え騒げェェェ!!」
「…結局近藤さんノリノリだし……」
「ホントは庭が一番望ましかったけどネ、まぁこの大部屋なら充分アルな」
「なんだお前そのえらそーなの!少しは感謝しろや、これのためにうちの平隊士の三分の二が荷物と布団外に出してんだぞ!!」
「あーハイハイ分かったアルヨ多串クン」
「おまっ……」
再び声を荒げかけた土方をほぼ無視し、神楽がぽいと何かを放った。ぱさっという乾いた音がして、土方は自分の頭に何かが乗せられたことを知る。
「なん…」
「ヤドリギ」
こともなげに言って、ぽんと跳ねる。一瞬の高さを稼いだ後に、腕を伸ばし土方の肩を掴み、またもう少し高さを得て。
 一瞬触れたのは芸妓のそれとはだいぶ違う、酷く柔らかくて温かな感触だった。
 「……、」
「クスリマツリとヤドリギの話、知ってるカ?」
また微妙に間違えている今日この日の名前と彼の頭に乗る枝の名前を並べ、にたりと笑う。どんちゃん騒ぎを通り越した大騒ぎとなっている室内では、他の誰も、不自然に固まった土方そしてその側の神楽になんか気を留めない。
 もうとっくに地面に降りて土方を見上げる神楽が、のんびりと言葉を継いだ。

「今晩はネ、ヤドリギの下でキスすると、ずっと幸せになれるんだってヨ。」

そうして、嬉しそうにくふふと微笑った。


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▲クリスマス小話。ああこの頃ってホント馬鹿みたいにネタ出てきたよな…(しみじみ(ぇ)) 日記の小ネタは大体おおまかに「こんなシーン書きたいな」って思いながら書き始めるだけでオチとか何も考えず進めちゃうのですが、これ多分最初はこんな話にするつもり無かったと思うんだ…(ぇ) 最初に考えてたのは神楽の「クリマツリ」発言だけだったと(そこかよ)
…あれ?そもそもこの後半って日記に書いてた当時あったっけ?加筆部分かもしかしてこれ!?(汗(覚えてないのか・という…))
ちなみにヤドリギの話は「なかよし」で一時期連載してた「PQエンジェルス」とかいう漫画で初めて知りました。。あの漫画結局完結しなかったみたいですがなんでだろな…。。
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『こわいもの・いやなもの』 土方&神楽&沖田


 いつものように仕事の真っ最中。
「ぎゃああああああああああ!!」
とんでもない叫び声が耳を劈き、思わず手を止めた。
「っ、…なんだぁ?」
首を傾げつつ、とりあえず部屋を出てみる。と。
「おおおおお多串クン多串クンっ!!」
「な゛…、チャイナ!?てめーまた勝手に屯所へっ」
「助けてアルー!」
「あ!?」
「G!Gヨ!!Gが出たアル!!」
「ジージーうるせェな、日本語話せ!なんだって?」
「ごっ…ゴキ!」
「…ゴキぃ?」
しばらく考えて、やっと得心がいく。しかし、同時に思いっきり眉間に皺を寄せた。
「……なんで俺のとこにくんだよいちいちよォ…」
「私まだこの前のトラウマ残ってるヨ。宇宙ゴキブーリの恐怖が芯まで染み付いて離れないネ。見るのも嫌アル、お願い片付けて多串クン〜〜その刀で〜!」
「俺だって残っとるわあんな強烈なトラウマ!!大体刀ってお前なあ、これの手入れどんだけ大変か分かってんのか!?あんなんの油で汚すなんざ冗談じゃねーぞ!」
「人の脂でもゴキの油でも一緒アル!!」
「アホかァァァお前っ、あの大腸菌まみれのべとべとを人間と同一視する気かァァ!」
「決まってん…ってぎゃ――!!来た来た来た多串クンっ、ここまで追って来たアルヨーっ!」
「何ィ!?ちょっ、待てっ、なんか武器っ……」
「なーにしてんでィ、二人とも。えらい切羽詰まったツラしやがって」
 ぷち。
「…あ゛…」
「まさかこんなん一匹に右往左往してたんですかィ?情けねえったらありゃしねェ」
「ううううるっせェ!っつーかてめぇ!そんなんよく素足で踏むなっ…あ?」
「素足じゃありやせんぜ。ホラ。」
ぴらぴらと振る沖田の足には、白いスリッパ。底は、…言わずもがな、茶色くべとついた厭な痕跡がありありと残されている。
「…あ、そう……」
と、一旦納得して退きかけた土方。しかし次の瞬間はっと我に返り、
「…って、総悟てめェコラァァァ!お前ソレ来客用スリッパじゃねェかァァァァ!!!」


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▲ジャンプで巨大ゴキ●リ話をやっている頃書いたんです。なんか作中の雰囲気だと屯所はかぶき町じゃないっぽいけど…まぁきっと近所ではあると思うんで。「絶対屯所にもゴキブーリは行ったはずだ!」とか思いながら書きました(笑) アレはどんな猛者でもトラウマ作るだろ…;
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『瞳の色』 土方×神楽


 「お前の瞳って黒いのな」
「?まぁナ」
「でもたまに蒼いよな」
「?まぁナ。光受けると透けて見えるヨ。ほんとは黒っていうより濃い藍色だかラ」
「へぇー…」
「面白いカ?」
「まぁな」
「綺麗で良いだロ?」
「…まぁな。」
少し屈んで、じっと覗き込む。
「なんかの宝石みてェだ」
「古い口説き文句アル」
「誰がいつ口説いたよ、誰が!正直に言っただけだ」
「照れなくても良いヨー」
「照れてねっ……」
言葉が止まる。少し距離の縮まっていた額同士、ぶつかる鈍い音が小さく響いた。目の前で、ゆらゆらと何かの光を受けた蒼いきらめきが揺れている。

「きれいでショ?」

にこりと言うよりはにたりと、神楽が笑った。土方は、
「……自分で言うな、馬鹿が」
不機嫌そうに言い捨て、それから空いている手でくしゃくしゃと神楽の小さな頭を押さえつけるように乱暴に撫でると、ふんと鼻で笑った。


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▲そろそろネタ詰まりの気配が漂ってきた頃です(ぇ) で、苦し紛れに「そういえば神楽の目って独特なんだろーな」とか思って書き始めました。ホントの青目となるとなんか水色っぽくなるんかなーと思って…どっちかっていうと深い色の方が綺麗だなと思って、こういうことに。ホントはまぁ多分普通に青いんだろな…(汗)
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『暇つぶし』 土方×神楽


 ぱりぱりぱりぱり。
 至極軽い音。
「……」
「……」
ぱりぱりぱりぱり。
「……おい」
「……」
ぱりぱりぱりぱ…
「おいっ!!」
「何アル」
「何・じゃねーよお前なんでさっきから俺の真横で菓子食ってんだ!仕事の邪魔すんなって何度言ったらっ…」
「だって多串クン遊んでくれないんだもん。それにここ、ちょっと物置開けたら高級そうなお菓子いっぱいネ。暇つぶしには最適アル」
「って…その菓子うちの物置から出してきたのか!?よく見たらそれ御中元かなんかで貰った洋菓子じゃっ…オイィィ!それ結構高ェ菓子だぞ“高級そう”じゃなくてホントに高級なんだぞコラァァァ!」
「だって誰も食べなそうだし。トシちゃん甘いもの嫌いっぽいし」
「その呼び方はやめろっつってんだろが!…あのなぁ、お前ホントそのうち窃盗罪でしょっぴくぞ!」
「多串クンなんかに捕まんないアル」
「お前なァァァ!」


 「副長の部屋、なんか賑やかですね」
「大方、迷い猫でも入ったんだろィ。…そうだ新開発の唐辛子スモーク入れてやろうかな、猫も土方さんも一発だァ」
「……土方さんを片付ける意味はどこに?」
「俺が副長になれるだろィ」
「……」


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▲もうネタ切れ苦し紛れの最たる感じですね(まぁむしろ小ネタらしいかもしれないけど) 最後の山崎と沖田のやり取りの方が土神会話より気に入ってるかもです…(汗)
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『ポッキーゲーム?』 土方×神楽


 「ねーねー多串クン」
「あぁ?」
「パイの実ってさぁ……」
「あ゛ーさっきからさくさくさくさくうるせェと思ったらまた真横で菓子喰ってるし!仕事中は寄るなっつってんだろが!!」
「これ、パイの実って…こう……」
「パイの実がどうしたよ!早く言えや!!」
「こう…上のパリパリしたとこと、下のさくさくしたとこと、真ん中のチョコのとこ。…分けて食べたくならないアルか?」
「…………はぃ?」
「いやー…前々から思ってたんだけド、やっぱこれ外せないアルネ。一口で食べるのなんか勿体無い気がするアル」
「…そりゃただの貧乏性だろ……」
「ビンボー言うなヨ!万事屋、こんなパイの実ケチるほどビンボーじゃ…な……」
「……」
「………」
「…なんで黙るんだよオイっ!」
「…っ多串クンには関係ないネー!ていうか勿体無いってだけじゃないヨ、このパイ、結構大きいアル。一口で食べるとちょっと喉苦しいネ」
「あー、なるほど。お前、口ちっさいもんな」
「あ、そだ!」
「…あ?」
こういう時、神楽はたいていろくでもないことを考えている。
 案の定、
「多串クン多串クン、今日はこれでポッキーゲームしよ!!」
「…はぃ!?」
「一人で三分割なんて侘しいコトする必要なかったネ、二人で一緒に食べれば良いアル!」
「待てコラ、それなら普通に手で割るかなんかしろ!つーか棒で行うゲームをそんな丸い物体が代行出来ると思ってんのかてめェェェ!!」
「ほーらほらほら多串クン、へーふへーふ(ゲームゲーム)!!」
「おーい後半言葉になってねーぞ!っつかそんな菓子咥えて待たれてもっ…俺はやらねェからなァァァ!!」


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▲すげェこれだけ中身の無い話も早々無いよ!!(ぇ) パイの実は日朝の好物です、滅多に食べませんが。そして3層に分けたくなるのも私(すいませんなんつーか意地汚くて) 最後の方のポッキーゲームくだりは気に入ってます。押せ押せ神楽。(ぉぃ)
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『かがんで』 土方×そよ(+沖田)


 一週間ぶりだった。
 攘夷派のお蔭でほとんど毎日のように護衛の者が来ることは来るが、それが彼とは限らない。だから、来てくれれば幸運なもので来ないのが普通・ぐらいのことだった。
 それでも一週間もその顔を見ないと不思議なことにどうにも落ち着かなかったから、先に来ていた沖田に「今日は来やすぜ」と聞いた時は、密かに胸を躍らせたものだ。

 ところが、やっと来たその人の顔を見てみれば、……そよは思いっきり驚いて、一瞬本気で息を止めたのである。


 「ひ、土方さっ…」
「はい?どうしました、そよさ……」
「ひーじかーたさん。顔、カオ」
「あァ?ってかお前なんで此処に…顔?顔…、…あ゛」
 怪我自体そう珍しいことでもないので(そしてそれ以上に怪我の原因がいつもよりずっと阿呆らしいものだったので)、本人も忘れていたらしい。しまった・と顔が歪む。
 彼の右目少し上からこめかみにかけては、(今朝換えたにも関わらず)もう薄汚れ始めた包帯がガーゼと一緒に皮膚を覆っていた。薄く滲む、赤茶色の血の痕。
「大丈夫ですか!?どうしてっ…」
「あー、いや、ただのかすり傷でして…その、」
「爆発で飛んできた瓦礫の破片、もろに喰らったんでさァ。仮にも副長が情けねェったら…」
「うるっせェぞ総悟!」
「ば…爆発!?」
「あ、いやそんな大したもんじゃなくって…その、ホントなんでもないのでお気になさらず」
「だって血が滲んでますっ」
目まで隠れてるし本当に大丈夫なのですか眼球は無事ですか・矢継ぎ早の問いに土方は若干の脂汗をこめかみに浮かべて、一歩後ずさりする。そして、彼女の丸い瞳にうっすら涙が浮かび始めたのを見て今度はあたふたと口の中で一生懸命言い訳を始めた。隣で沖田が無表情に、しかし確実に面白がりながらそれを見ている。
「ほほほ本当に大丈夫ですからっ!瓦礫っつってもこんな小さいコンクリで…かすり傷!これ、うちのヘボ監察方がちょっと派手に巻いただけで今すぐ外せますし」
「…土方さま、屈んでください」
「はい?」
「屈んで。」
どこか哀願するような声音に、思わず少し身体を傾ける。
 ひやりとした、適度に湿った小さな手。
 包帯の上からとそのすぐ傍の覆われていない皮膚とに、感じた。
「……。」
「痛そうです…」
手がそっと滑る。擬態語をつけるなら、…なでなで・だろうか。
 真っ直ぐに自分を見つめる潤んだ瞳。
 本格的に頭の中がぐらぐらしてくるのを感じた。瓦礫の当たった瞬間が軽くフラッシュバックしたような。
「おーい、土方さん。目がどっかいっちゃってますぜ、大丈夫ですかィ?」
沖田の声で我に返った。慌てて身を引く。そよが、少し残念そうな顔をした。
「お姫さん、あんまりからかっちゃいけやせんぜ。この人、場数踏んでる割にあんたみたいな人にゃあいつまでたっても純情なんだから」
「……ばかず?」
「ッ…、余計な事ばっかべらべらべらべら喋るんじゃねェェェ総悟ォォ!」


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▲マムシ騒ぎその後・みたいな話です。まぁ原作じゃ終盤には何事も無かったかのように傷消えてたけどね…それはきっとドリフのアフロみたいなもので本当はまだ傷はあったはずだと信じてますから!血ぃだらだらだったって信じてますから!!(←結構流血好き) しかしそよ姫は可愛いなあ…そしてこの土方はへたれすぎるなぁ……(汗)
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